「28歳のオイラーが解いた80年間の難問:バーゼル問題とは?」






オイラーの逆数級数の和についての論文解説


🔥 数学史を変えた28歳の天才オイラーの大発見

1735年12月5日 – サンクトペテルブルク科学アカデミーで発表された歴史的論文
エネストレームナンバー: E41
当時28歳のレオンハルト・オイラーによる「逆数の級数の和について」

§1 序論 – 長年の難問

オイラーが挑んだのは、こんな級数の和を求める問題でした:

1 + 1/4 + 1/9 + 1/16 + 1/25 + … = ?
1 + 1/8 + 1/27 + 1/64 + … = ?
「これまで多くの数学者がこの種の級数について考察してきたが、誰も便利な形で表現することができなかった。私もまた、様々な方法を試みたが、近似値を得るか、高度に超越的な曲線の求積に帰着させることしかできなかった。」

ポイント: ライプニッツやベルヌーイ兄弟など、当時の一流数学者たちが長年挑んでも解けなかった難問でした。

§2 驚愕の発見

🎯 オイラーの大発見!
1 + 1/4 + 1/9 + 1/16 + … = π²/6
「私は最近、全く予期せずに、この級数の和のエレガントな表現を発見した。それは円の求積に依存するものである。」

実際に数値で確かめてみると:

  • 級数の和 ≈ 1.644934066842…
  • これを6倍: ≈ 9.869604…
  • 平方根を取ると: ≈ 3.141592653…
  • これはπそのもの!
  • §3-§5 解法のアイデア

    🔧 オイラーの戦略

    オイラーは三角関数のテイラー級数を利用しました:

    sin(x) = x – x³/6 + x⁵/120 – x⁷/5040 + …
    革命的アイデア:
    通常:弧の長さ → サインの値
    オイラー:サインの値 → 弧の長さ(逆方向!)

    同じサインを持つ弧は無限にあるので、この方程式は無限次方程式になります。

    §6-§7 無限次方程式の因数分解

    🎲 同じサインを持つ弧たち

    サインがyとなる弧は:A, p-A, -p-A, 2p+A, -2p+A, …

    (pは半円周)

    因数分解のテクニック:
    無限次方程式を無限個の1次因数の積として表現

    係数を比較して級数の和を導出

    §8-§9 一般公式の導出

    任意の級数 a + b + c + d + … について:

    2乗の和 = (1項の和)² – 2×(2項の積の和)
    3乗の和 = (1項の和)³ – 3×(1項の和)×(2項の積の和) + 3×(3項の積の和)

    この公式を使って、高次の冪の和も計算できるようになります。

    §10 ライプニッツ級数の再発見

    🔍 検証タイム!
    y = 1(90度のサイン)の場合を計算すると…
    1 – 1/3 + 1/5 – 1/7 + 1/9 – … = π/4
    これは有名な「ライプニッツ級数」!
    既知の結果と一致 → オイラーの方法が正しい証拠

    §11 メインディッシュ – バーゼル問題の解決

    🏆 歴史的瞬間

    1 + 1/4 + 1/9 + 1/16 + 1/25 + … = π²/6
    これが「バーゼル問題」の解!
    80年以上未解決だった問題を、28歳のオイラーが解決しました。

    §12-§13 さらなる発見

    同じ方法で次々と新しい結果が!

    1 + 1/2⁴ + 1/3⁴ + 1/4⁴ + … = π⁴/90
    1 + 1/2⁶ + 1/3⁶ + 1/4⁶ + … = π⁶/945
    1 + 1/2⁸ + 1/3⁸ + 1/4⁸ + … = π⁸/9450
    重要な法則:
    偶数乗のときのみ、きれいな形で和が求められる!
    奇数乗は複雑になる…

    §14-§15 様々な角度での検証

    🔄 他のサイン値でも試してみよう

    • 45度 (sin = 1/√2): 新しいニュートン級数を発見
    • 60度 (sin = √3/2): さらに別の級数を発見

    すべての場合で円周率との美しい関係が成り立ちました。

    §16-§18 完全な証明

    y = 0(サイン = 0)の場合を詳しく分析することで、より直接的な証明を構築:

    最終的な結果一覧:
    • ζ(2) = π²/6
    • ζ(4) = π⁴/90
    • ζ(6) = π⁶/945
    • ζ(8) = π⁸/9450

    §19 円周率の新表現

    この研究により、πを表す美しい級数が多数発見されました:

    π = 4(1 – 1/3 + 1/5 – 1/7 + …)
    π = √6 × √(1 + 1/4 + 1/9 + 1/16 + …)

    🎊 オイラーの偉業まとめ

    1. 80年間未解決の問題を解決
    2. 数論と幾何学を結びつけた
    3. 無限級数の新理論を確立
    4. 現代数学の基礎を築いた
    この発見により、オイラーは一夜にしてヨーロッパ数学界の第一人者となりました!

    📚 現代への影響

    この論文で発見されたゼータ関数は、現在でも:

    • 素数の分布理論
    • 量子物理学
    • 暗号理論

    など、様々な分野で重要な役割を果たしています。

    レオンハルト・オイラー(1707-1783)は、数学史上最も多作な数学者として知られ、現在でも使われている多くの数学記号(e, i, π, f(x), Σなど)を導入しました。


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