「すべての数は平方数の和になる」 ――フェルマーの主張を完成させたオイラー(E242)

18世紀の数学者 レオンハルト・オイラー は、フェルマーが残した数論の直感的主張を、体系的な理論へと作り替えた人物です。

1760年に発表された論文

『Demonstratio theorematis Fermatiani omnem numerum sive integrum sive fractum esse summam quatuor pauciorumve quadratorum』

(「すべての数は、整数であっても分数であっても、四つ以下の平方数の和として表されるというフェルマーの定理の証明」)は、その到達点にあたります。

フェルマーの大胆な主張

フェルマーは次のような主張をしていました。

任意の数は、$a^2 + b^2 + c^2 + d^2$ の形で表せる。

ここで重要なのは、「四つ以下」という点です。場合によっては、

  • 1つ
  • 2つ
  • 3つ

の平方数の和で済むこともあります。

たとえば $7 = 4 + 1 + 1 + 1$、$15 = 9 + 4 + 1 + 1$ といった具合です。

しかしフェルマーは、この主張の証明を残しませんでした。

オイラーの課題:「すべて」をどう扱うか

この主張の難しさは、「多くの例」ではなく、

どんな数であっても成り立つ

ことを示さなければならない点にあります。

オイラーはこの論文で、

  • 整数だけでなく 分数 も含めて
  • どの数も必ず平方数の和に分解できること
  • しかも平方数の個数が 高々4個で足りる こと

を、段階的に示していきます。

これまでの論文との関係

この論文は、オイラー自身の先行研究を土台にしています。

  • 「二つの平方数の和として表される数」
  • 「$4n+1$ 型の素数は平方数の和になる」

といった結果を積み重ねたうえで、

最終的に、すべての数が平方数の和になる

という、より大きな結論へと到達しています。

個別の性質を丹念に積み上げて、全体を覆う定理に仕上げていく――まさにオイラーらしい仕事です。

なぜ「4つ」で十分なのか

論文では、

  • 平方数を割り算で調べる方法
  • 余り(剰余)の性質
  • 小さい平方数の組み合わせ

を用いて、「これ以上平方数が必要になることはない」ことを示していきます。

重要なのは、「4つあれば必ず足りる」のであって、常に4つ必要なわけではない、という点です。

数学史的な意味

この結果は、現在では ラグランジュの四平方定理 として知られていますが、その完成に至る道筋を実際に切り開いたのがオイラーでした。

この論文は、

  • フェルマーの直感
  • オイラーの検証と整理
  • 後の数論への橋渡し

を一つにつなぐ、決定的な位置を占めています。

数学は「全部」を扱えるか

この論文が示しているのは、単なる計算結果ではありません。

数学は、「たいてい成り立つ」ではなく「必ず成り立つ」を扱う学問である

という、数学の基本姿勢そのものです。

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