「整数だけで解け」 ――オイラーが挑んだディオファントス問題(E29)

古代ギリシャの数学者ディオファントス以来、「整数だけで方程式を解く」問題は、数学者たちを長く悩ませてきました。

たとえば、

$$x^2 + y^2 = z^2$$

のような式を、整数解だけで解けるか、という問いです。この種の問題は、現在では「ディオファントス方程式」と呼ばれています。

1738年、18世紀の数学者 レオンハルト・オイラー は、こうした問題を体系的に扱った論文を発表しました。

『De solutione problematum diophanteorum per numeros integros』

(「整数によってディオファントス問題を解くことについて」)です。

「解けるか」ではなく「どう解くか」

オイラーの関心は、単に

解が存在するかどうか

ではありませんでした。

  • 解を 一般の形で表すこと
  • 一つの解から 無限に多くの解を生み出す方法
  • 分数や近似を使わず、整数だけで処理すること

が、この論文の中心テーマです。

無限に解を作り出す発想

論文の中でオイラーは、ある整数解が見つかったとき、

それを出発点として、新しい整数解を次々に作り出せる

ことを示します。

つまり、「一度解けたら終わり」ではなく、解の構造そのものを理解することを目指しているのです。

この考え方は、後の数論で非常に重要な意味を持つようになります。

フェルマーとのつながり

この論文は、フェルマーが残した

  • 整数解の存在に関する直感的主張
  • 証明抜きで書かれた数々の予想

を、オイラーが「実際に扱える数学」へと変えていく過程の初期段階に位置します。

後に展開される、

  • 平方数の和の理論
  • 四平方定理
  • 数の分解の一般理論

は、すでにこの論文の中で萌芽的に現れています。

なぜ重要なのか

この論文が示しているのは、次の姿勢です。

数学は、解があるかどうかを問うだけでなく、解の作り方そのものを明らかにする学問である

オイラーは、ディオファントス問題を「偶然当たる問題」から「体系的に扱える対象」へと引き上げました。

数学史の中での位置づけ

この論文は、

  • 古代ギリシャの問題意識
  • フェルマーの直感
  • オイラーの方法論

を結びつける、重要な接点です。

後の整数論や代数的手法は、ここで示された「整数だけで考え抜く姿勢」を土台に発展していきます。

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