「二次式」を整数で解く ――オイラーが切り開いた一般的方法(E279)

18世紀の数学者 レオンハルト・オイラー は、「整数だけを使って方程式を解く」という問題に、生涯を通して取り組みました。

1764年に発表された論文

『De resolutione formularum quadricarum indeterminatarum per numeros integros』

(「不定二次式を整数によって解くことについて」)は、その探究が一段階、一般化された形で現れたものです。

扱われているのは、どんな問題か

この論文で扱われているのは、たとえば次のような形の式です。

$$ax^2 + bxy + cy^2$$

ここで問われるのは、

  • この式が 平方数になるような整数 $x, y$ は存在するか
  • 存在するとしたら、それを 体系的に見つける方法 はあるのか

という問題です。

重要なのは、解を分数や近似で求めるのではなく、最初から最後まで整数で処理する点にあります。

個別問題から一般理論へ

それまでの研究では、

  • ある特定の方程式を
  • その都度工夫して解く

という方法が主流でした。

オイラーはこの論文で、

二次式の形そのものに注目すれば、解き方を一般的に整理できるのではないか

と考えます。

その結果、

  • 「ある条件を満たす二次式は、必ず整数解を持つ」
  • 「一つの解から、別の解を次々に作り出せる」

といった構造が明確に示されていきます。

ディオファントス問題とのつながり

この論文は、1738年の

『ディオファントス問題を整数で解く』(E29)

で試みられていた方法を、より洗練された形で引き継いでいます。

個々の問題を解く段階から、「なぜ解けるのか」を説明する理論へと進んでいる点が、この論文の大きな特徴です。

平方数の和の理論へ

ここで扱われる不定二次式の理論は、

  • 二平方の和
  • 四平方定理
  • 数の分解理論

へと自然につながっていきます。

「平方数の和」は、突然現れたテーマではなく、こうした二次形式の研究の中から育ってきたことが、この論文からよく分かります。

数学史的な意義

この論文が示しているのは、次のような数学観です。

問題を解くことよりも、解ける理由を一般の形で説明することが重要である。

オイラーは、不定方程式の研究を「技巧の集まり」から「構造を持った理論」へと押し上げました。

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