オイラーとゴールドバッハの往復書簡:第1信(1729年10月13日付)
1730年代初頭、レオンハルト・オイラーはペテルブルクから親友ゴールドバッハに宛てて、級数論に関する新しい考察を次々と書き送っていた。本稿で紹介するのは、その往復書簡集の冒頭を飾る**第1信(1729年10月13日付)**である。
手紙の主題:指数の拡張とその意味
この手紙の主題は、「指数が整数に限られない場合の級数の一般項を、いかにして定めるか」という問題である。オイラーは、
$$1, 2, 6, 24, 120, \ldots$$
という階乗数列を例にとり、指数が整数でない場合(たとえば 1/2, 3/2 など)にも意味をもつ「中間項」を厳密に定義しようと試みている。
微分積分学による新しいアプローチ
注目すべき点は、オイラーがこの問題を微分積分学の方法によって処理しようとしていることである。従来の代数的手法では扱えなかった「変数指数をもつ級数」に対し、微積分を導入することで、以下の新しい視野を切り開いている:
- 一般項の構成
- 中間指数項の厳密な値の決定
- 円の求積や対数関数との関係
実際、手紙の中では指数 1/2 に対応する項が円の求積(円周率)と結びつくことが示され、「数では表せない量」が自然に現れることが強調されている。この点は、後にオイラーがガンマ関数へと至る発想の萌芽としても読むことができる。
オイラーの率直な自己評価
また、この書簡の末尾でオイラーは、自身の方法がまだ完全ではなく、「望むものを必ずしも得られるわけではない」という限界を率直に認めている。しかし同時に、微積分を級数論に本格的に適用することで、今後さらに大きな展開が可能になるという確信も語っている。この率直な自己評価は、研究の途上にあるオイラーの思考を生々しく伝えてくれる。
18世紀数学の核心的テーマ
本書簡は、以下の18世紀数学の核心的テーマが、まだ整理されきらない形で交錯している貴重な史料である:
- 階乗概念の連続化
- 級数論と解析学の融合
- 有限から無限への思考の拡張
今後、本ブログではこの往復書簡を手がかりに、オイラーがどのようにして「無限」と「解析」を結びつけていったのかを、原文に即しながら読み解いていきたい。
引用文献
Leonhard Euler, Lettre I. Euler à Goldbach(1729年10月13日) オイラー=ゴールドバッハ往復書簡集












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