【ラプラス】「ラプラス変換」「ラプラスの悪魔」数学者エピソード

ピエール=シモン・ラプラスはフランスの数学者・物理学者・天文学者です。

ラプラスが生きたのは18世紀(1749年〜1827年)。

現代でも「ラプラス変換」「ラプラス作用素」「ラプラス方程式」そして「ラプラスの悪魔」といった彼の名を用いた言葉が使われるため、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

また、ポケモンの名前や映画『ラプラスの魔女』の由来とも言われています。

ナポレオン・ボナパルトの内務大臣としても知られているラプラスについて、関係するエピソードをまとめてみました。

1780年代に構築「ラプラス変換」

「ラプラス変換」は微分・積分や電気回路などの授業で出てきます。

数学の基礎と言うよりも理工系の応用問題によく使われます。

数学の知識に加えて、フーリエ解析・複素解析といった分野も知らないと理解するには難しく感じるかもしれません。

それでも「ラプラスの変換」が教科書に載せられているのは微分方程式を解く時に使うととても簡単になるからです。

「ラプラス変換」を分かりやすく説明すると、時間(t)と複素数(s)を行き来することです。

「ラプラス変換」で面倒な計算を代数方程式に変え、そして「ラプラス逆変換」で元の関数に戻して解を得るという手法です。

1899年に、電気技師オリヴァー・ヘヴィサイドが回路方程式を解くために用いたとして発表しました。

では、なぜ「ヘヴィサイド変換」と呼ばれないのでしょうか?

実はヘヴィサイドは数学的な理解はしておらず、証明ができませんでした。

そのため英国王立協会は論文の掲載を拒否しました。

1910年以降にようやくヘヴィサイドの有効性が実証されますが、1780年代にすでにラプラスが発見していたことが分かります。

そうして「ラプラス変換」という名前で知られるようになりました。

未来は決定している?「ラプラスの悪魔」

1812年、ラプラスは自著『確率の解析的理論』にて「ラプラスの悪魔」を主張しました。

「ラプラスの魔」・「ラプラスの魔物」とも呼ばれる、「決定論」です。

「決定論」とは「あらゆる出来事はすでに起こっていることに由来しているため、未来は確定されている」という考え方です。

逆に、「人間は自分の意志で動いている」と考えるのが「自由意志」です。

私達の人生が決まるのは「ラプラスの悪魔(決定論)」か「自由意志」か?

これは物理学・哲学・神学などさまざまな分野で議論されてきたテーマです。

ラプラスは人間を含めた物質を粒子の集まりととらえました。

すべての原子の状態や力(運動量)を知ることができ、さらに解析できるだけの能力があれば未来を完全に予測できる」と書いたのです。

この超越的な概念をラプラスは「知性」と呼んでいました。

その後エミール・デュ・ボワ=レーモンが「ラプラスの霊」と呼び始め、広まるうちに「ラプラスの悪魔」として世に広がっていきます。

20世紀に入ると量子力学が登場し、現段階ではすべての原子の状態を知ることはできない(不確定性原理)ということで落ち着きます。

「ラプラスの悪魔」の証明は難しいとされ、段々と否定的な意見が増えてきました。

ラプラスの言う通り、本当に未来はすでに決まっているのでしょうか?

例えば、今この記事を読むことも、明日の朝食が何かということも、宇宙が始まった時から分かっていたことなのでしょうか?

あなたは「ラプラスの悪魔(決定論)」または「自由意志」、どちらを信じますか?

ラプラスとナポレオン

ラプラスが生きていたのはフランス革命の時代。

もともと数学の天才として、エコール・ノルマール(エコール・ノルマル・シュペリウール高等師範学校)の教官を務めていました。

ナポレオン・ボナパルトは、ラプラスの頭脳を認めてか内務大臣にします。

ある日ラプラスは自著『確率論の解析理論』や『確率の哲学的試論』をナポレオンに献呈します。

ナポレオンはこのようにからかいました。

「お前の書いた本は不朽の名作だと聞いていたが、神のことが書いていないじゃないか。」

するとラプラスは「陛下、私には神という仮説は無用なのです。」と答えたそうです。

自然現象も科学の法則だけで説明できると信じていたので、神の存在は認められなかったのでしょう。

ラプラスが内務大臣だった期間は6週間程度と短いものでした。

理由はナポレオンがラプラスに対して「行政能力は無いと気付いた」とも「無限小を持ち込む(=緻密過ぎる)から嫌がった」とも言われています。

ちなみにナポレオンが失墜するとラプラスは退位に賛成、新政府派へとなり貴族院に入り込みました。

数学・物理学の天才は世渡りにも長けていたことが分かりますね。

まとめ

「ラプラス変換」や「ラプラスの悪魔」を生み出した天才ラプラス。

1780年代には今で言う微分積分の解の求め方に気付き、物理学の観点から「ラプラスの悪魔(決定論)」を主張しました

その賢い頭脳が求められたのか、英雄ナポレオンの内務大臣にもなりました。

ラプラスは数学のみならず、物理学・天文学そして政治について独自の考え方を持っていたようです。

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