【フーリエ】天才数学者のエピソード!エジプト学・オームの法則にも影響大

「フーリエの定理」・「フーリエ等級」・「フーリエ変換」。

これらは、物理学や電子・電気工学などの分野で非常によく使われています。

編み出したのは数学者ジャン・バティスト・ジョゼフ・フーリエ。

活躍したのは19世紀、フランス革命や英雄ナポレオンの時代です。

数学者でしたが、エジプト考古学・物理学、その他の分野にも多大なる貢献をしました。

今回はフーリエのエピソードを通して、フーリエの凄さを説明します。

Contents

入学して3年目に教授!?

まずはフーリエのずば抜けた頭脳に関する逸話を紹介します。

1794年にエコール・ノルマル・シュペリュール(高等師範学校)が開設されると、フーリエは生徒として入学します。

教師陣は錚々たるメンバーでした。

  • ジョゼフ=ルイ・ラグランジュ(未定乗数法)
  • ピエール=シモン・ラプラス(「ラプラスの悪魔」)
  • ガスパール・モンジュ(画法幾何学)

などがいたとのことです。

翌年の1795年にはフーリエを高く評価していたモンジュが、エコール・ポリテクニーク(高等理工科学校)の教員に推薦します。

(この時期、過去の政治行動から逮捕されますが、すぐに釈放されます。)

翌年には代数方程式に関する定理として「フーリエの定理」を発表します。

入学してから3年後の1797年には、解析学と力学を教えていたラグランジュの後任として教授に就きました

フーリエは生徒の立場から教授になるまで、たったの3年しか要していないのです。

「古代エジプト学の父」の師匠?

1798年、フーリエは科学者として、ナポレオン・ボナパルトのエジプト遠征に付き添います。

エジプト遠征をまとめた論文はエジプト考古学上での貴重な文献となりました。

エジプトでは考古学の調査やカイロ学士院の創設に関わり、カイロ学士院の書紀となりました。

ナポレオンはフランスに帰るものの、フーリエ自身はエジプトに残ります。

この時ナイル川のロゼッタ付近で発見したのが「ロゼッタ・ストーン」です。

「ロゼッタ・ストーン」は3種類の文字が刻まれた石碑です。

  • 古代エジプト ヒエログリフ(神聖文字)
  • 古代エジプト デモティック(草書体・民衆文字)
  • ギリシア文字

ギリシア文字部分は読めたものの、他の部分は理解できませんでした。

フーリエはフランスに帰る際、「ロゼッタ・ストーン」を持ち帰り研究対象とします。

ある日、フーリエは「ロゼッタ・ストーン」を当時11歳の少年に見せます。

少年の名前はジャン=フランソワ・シャンポリオン。

後にヒエログリフを解読し、「古代エジプト学の父」と呼ばれます。

古代エジプト文明の研究が飛躍的に向上するきっかけをつくったのがフーリエだったのです。

『熱の解析的理論』からオームの法則へ

1822年、フーリエは熱伝導・解析学についての書籍『熱の解析的理論(Théorie Analytique de la Chaleur)』を出版します。

内容は熱伝導の方程式についてでした。

微分積分の計算も含まれており、自然現象を科学によって分析しようとしました。

その際に編み出したのが「フーリエ展開」です。

『熱の解析的理論』から強く影響を受けた者の一人にゲオルク・ジーモン・オームがいます

皆さんご存知の「オームの法則」を生み出した、ドイツの物理学者です。

フーリエは熱を数学的に解析し成功を収めただけでなく、物理学の発展にも貢献したことが分かります。

現代の音楽にも影響!「フーリエ変換」

フーリエは数学だけでなく、物理学・電気工学にも大きな影響を与えました。

「フーリエ変換(FT)」は高校の数学でも登場する場合もありますが、あまり馴染みがないと感じるかもしれません。

「フーリエ変換」を簡単に説明すると、時間tの関数を角周波数wに変換する手法です。

複雑な波形でも「フーリエ変換」をしてしまえば、微分積分などが楽になるのです。

(※ちなみに「フーリエ等級」は波形の周期が決まっている場合に使えますが、基本的な考えは同じです。)

実生活で「フーリエ変換」というキーワードは聞かないかもしれませんが、さまざまなことに応用されています。

例えば、パソコンで音楽を再生・制作する際に使うグラフィック・イコライザー。

グラフィック・イコライザーによって高音にしたり低音にしたり特定の周波数に変化を加えるのに「フーリエ変換」が用いられています

周波数(=音の高さ)を増幅・減衰させてから出力しているのです。

「フーリエ変換」は現代の私達の生活にも関わっているのです。

まとめ

「フーリエの定理」や「フーリエ変換」として名前が知られているフーリエ。

19世紀に生きた天才は、興味深いエピソードが語り継がれています。

  • 生徒として入学したのち3年で教授まで登りつめる
  • エジプト考古学の基礎をつくる
  • 「ロゼッタ・ストーン」を少年シャンポリオンに見せると、後にヒエログリフを解読する
  • 「オームの法則」は『熱の解析的理論』に触発された
  • グラフィック・イコライザーは「フーリエ変換」の応用

数学だけでなく、幅広い分野に関わりを持っているのが分かりますね。

天才数学者フーリエが私達人類に及ぼした影響は計り知れません。

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マスティー
中高一貫校で数学を教えています。日々生徒たちから学びながら、これから学習する人の支えになるサイト作りを目指していきます。
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