数学者は変わり者ばかり。
その中でもトップクラスの変わり者と言えるのがポール・エルデシュです。
ハンガリー生まれの数学者で、メインの分野はグラフ理論ですが、分野にこだわりはありませんでした。
興味を持ったら、その分野の数学者を訪ね、論文を書いていったそうです。
人生で書き上げた論文数は1,500を超えるという、数学大好き人間です。
今回は変わり者数学者ポール・エルデシュに関するエピソードを紹介します。
「私の脳みそは営業中だ。君のはどうかね?」
「私の脳みそは営業中だ。君のはどうかね?」
ポール・エルデシュは友人数学者を訪ねる時に、いつもそう言っていたそうです。
ポール・エルデシュは家(定住地)を持っておらず、ある数学者数学のところに行っては、数日後に別の数学者のところへ行くといった生活をしていました。
訪ねられた側としては迷惑に感じそうですが、実際は逆です。
ポール・エルデシュが来れば新しい発見が生まれるので、常に歓迎されていたのでした。
ずば抜けた頭脳と愛されキャラが功を奏して、単独研究が多い数学者の中で共同研究を行ったのは500人以上になりました。
ポール・エルデシュとの関係性を数字にした「エルデシュ数」なるものまで作られます。
数字が小さければ小さいほど、天才ポール・エルデシュとの関係性が深いとしてうらやましがられます。
(※詳細は後ほど説明します。)
ポール・エルデシュのように知識と愛嬌を持っていれば、業界の中で好かれる人物になるでしょう。
ポール・エルデシュ用語
ポール・エルデシュは独自の考えをもとに独特な言葉を使っていました。
例えば、「数学をやめる」ことを「死ぬ」と言っていたそうです。
ポール・エルデシュは1日19時間数学をやっていたという話もあるため、数学に触れられないのは死と同義だったんでしょうね。
他にも、以下のように言い換えていたそうです。
- 結婚した→捕獲された
- 離婚した→開放された
- 死ぬ→去る(逝く)
- 女性→ボス
- 男性→奴隷
- 子ども→イプシロン
- 音楽→雑音
- アルコール→毒
- 説教する→数学の講義をする
- アメリカ→サム
- ソ連→ジョーダム
- 神→思考のファシスト(SF)
数学者ポール・エルデシュの言葉使いによって価値観が伝わってきます。
理系の憧れ「エルデシュ数」
「エルデシュ数(エルデシュ番号)」はポール・エルデシュとの関係性を表す数字です。
数学者や数学界から親しまれていることがよく分かりますよね。
「共著論文執筆距離」とも呼ばれ、この数字が小さいほど数学界では誇れます。
(※実際にはなんの意味も持たないのですが・・・。)
「エルデシュ数」の簡単なルールを紹介します。
- ポール・エルデシュ自身:エルデシュ数0
- ポール・エルデシュと共著論文を書いた:エルデシュ数1
- エルデシュと共著論文を書いたことはないが、エルデシュ数1との共著論文を書いた:エルデシュ数2
- 「エルデシュ数」を持っている人と共著論文を書いたことがない:エルデシュ数なし(または∞)
つまり、ポール・エルデシュと共著論文を書いたAさんは「エルデシュ数」1、Aさんと共著論文を書くと「エルデシュ数」2になります。
ちなみに2014年までのフィールズ賞受賞者は全員「エルデシュ数」5以下です。
「エルデシュ数」1の数学者を一部紹介します。
- ロナルド・グラハム(エルデシュ数の生みの親)
- レーニ・アルフレード(グラフ理論)
- ピーター・フランクル(NHK番組でお馴染み)
理系なら憧れる「エルデシュ数」、論文を書くことで手に入れられるかもしれません。
『博士の愛した数式』のモデル?
『博士の愛した数式』という作品を知っていますか?
作品の中には、「ルース=アーロン・ペア」や「フェルマーの最終定理」など数学用語が散りばめられています。
『博士の愛した数式』の主人公「博士」は元数学者で、交通事故によって記憶が80分しか持ちません。
生涯数学を愛し続けたというキャラクター設定で、映画では寺尾聰さんが演じています。
実は、この主人公「博士」のモデルはポール・エルデシュと言われています。
参考文献にポール・エルデシュについて書かれた『放浪の天才数学者エルデシュ』が挙げられているためです。
確かに、数学に人生をかけていたという特徴は似ていますね。
『博士の愛した数式』を通じてポール・エルデシュを感じてみるのはいかがでしょうか?
まとめ
奇人変人数学者 ポール・エルデシュについて紹介しました。
- 「私の脳みそは営業中だ。君のはどうかね?」と突然訪ねる
- 「数学をやめる」ことを「死ぬ」と言っていた
- 関係性を数字で表された「エルデシュ数」
- 『博士の愛した数式』主人公のモデルと言われている
数学にすべてをかけ、他のことはあまり気にしない性格だったようですね。
それでもポール・エルデシュがやってくると研究が進むことから歓迎され、「エルデシュ数」という概念も生まれました。
数学者の中でも一番と言ってもいいほど変わり者でしたが、数学者やまわりの人から愛されていたことがよく分かりますね。
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