超難問「ポアンカレ予想」。
数学にあまり興味が無い人でも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
「ミレニアム懸賞問題」のひとつで、「解決できたら100万ドル(1億円)」として世界中から挑戦者が現れました。
その「ポアンカレ予想」を考えだしたのはフランスの数学者アンリ・ポアンカレです。
数学だけでなく、物理学や天体力学などにも大きな影響を与えた人です。
今回はそんな偉大な人物 アンリ・ポアンカレにまつわるエピソードを紹介します。
宇宙に迫る「ポアンカレ予想」
「宇宙の構造はどうなっていると思う?」
と聞かれたら、あなたはどう答えるでしょうか。
アンリ・ポアンカレはこの突拍子もない問題に立ち向かい、解決しようとしました。
1904年に提案したのは「単連結な3次元閉多様体は3次元球面と位相同型である」、いわゆる「ポアンカレ予想」です。
何を言っているのかよく分かりませんよね。
簡単に説明しますので、想像してみてください。
ロケットに長い長いロープ(紐)がついているとします。
宇宙を一周してから地球に還り、ロープの端と端を持った状態で引き寄せます。
「この時、宇宙の形は丸いと言えるのか?」という問題です。
「ポアンカレ予想」は超難問。
彼自身、生きている間に証明できませんでした。
その後多くの数学者が挑戦するも解決せず、「ミレニアム懸賞問題」にも選ばれました。
解いた人は100万ドル(1億円)の懸賞金がもらえるのです。
「ポアンカレ予想」の提出から100年後、ついに答えが出ました。
解決したのはロシア人数学者 グリゴリー・ペレルマンです。
NHKでも「100年の難問はなぜ解けたのか~天才数学者 失踪の謎~」というタイトルで放送されたので、知っている方もいるかもしれません。
「ポアンカレ予想」の解決により、私達人類は謎に満ちた宇宙を少しだけ理解できるようになったのです。
アンリ・ポアンカレの名言
アンリ・ポアンカレが書いた論文には不正確な箇所も多く、数学者から曖昧な点が指摘されました。
しかし、本人が言うには「数学者とは不正確な図を見ながら正確な推論のできる人間のことである」とのこと。
「数学の本体は調和の精神である」「水源は不明でも、やはり川は流れている」とも言っています。
論理よりも直感を信じていた彼らしい言葉ですね。
しかし、アンリ・ポアンカレの天才的ひらめきのせいで、後の数学者が苦しめられたことは言うまでもありません。
ちなみに、アンリ・ポアンカレは他にも名言を残しています。
- 自然が美しくなかったならば、自然は労して知るだけの価値がないであろう。 また、人生も生きるだけの甲斐もないであろう。
- すべてを疑うか、すべてを信じるかは、二つとも都合の良い解決法である。どちらでも我々は反省しないですむからである。
- 偶然はそれを受け入れる準備ができた精神にのみ訪れる。
- 科学者は実益あるがゆえに自然を研究するのではない。自然に愉悦を感ずればこそこれを研究し、また自然が美しければこそこれに愉悦を感ずるのである。
アンリ・ポアンカレの人生への向き合い方がよく分かる名言ですね。
パン50gをめぐる争い
2016年頃、Twitterにてアンリ・ポアンカレにまつわるエピソードが話題となりました。
こんなエピソードです。
アンリ・ポアンカレはパン屋で1kgのパンを買います。
ふと「ちゃんと1kgで売っているのか?ごまかしているのではないか?」と思い、1年間パンの重さを記録していきました。
すると、平均値は950g、1kgには50g足りません。
パン屋に問い詰めると「多少の誤差」と言い張りますが、アンリ・ポアンカレは諦めません。
また1年間記録を取ると、1kgを超えるようになります。
しかし、アンリ・ポアンカレは、パン屋がわざと(彼に対して)「重めのパンを売っている」と突き詰めたのです。
うーん、数学者らしいこだわりが見えますね。
(※ちなみに、このエピソードの主人公はアンリ・ポアンカレじゃなくて「ホランドだ」「ガウスだ」「いや、まったくの創作だ」という噂もあります。)
もしアンリ・ポアンカレがたったの50gのパンに執着していたのが事実だとしたら、かなり細かい性格だったのでしょうね。
まとめ
100年間、誰も解けなかった「ポアンカレ予想」。
考えだしたのはフランスの数学者アンリ・ポアンカレです。
宇宙の謎に迫った難問は、発表当時誰も証明できませんでした。
彼自身も解けなかった理由は「ひらめき」を重要視していたからでしょう。
「数学者とは不正確な図を見ながら正確な推論のできる人間のことである」・「水源は不明でも、やはり川は流れている」などを言い残すほどでした。
数学は論理的思考が求められると思いがちですが、直感も大切です。
「なにかがおかしい」と感じることから研究が始まるのですから、直感こそ数学の第一歩と言えるでしょう。
あなたも、「あれ?」と思ったことを周囲に話してみてください。
もしかしたら、アンリ・ポアンカレのように100年経っても証明できない予想になるかもしれません。
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